免疫力の弱い私--今年のまとめ--

年末に1年を振り返るなんて凡庸だけど,今年は平凡な自分にしては,いろいろなことがあったので.

2005年の元旦はとてつもない頭痛に苦しんでいた.年末からかなり調子が悪かったんだけど,ちょうど大晦日紅白歌合戦が終わったあたりで耐えられなくなって,早めに寝ることにした(それでも蕎麦を食べたり,お酒を飲むことはなんとかできた).


2005年1月1日元日.起きると,もの凄く体調が悪くなっていた.心臓の動悸に同期して(洒落ではない)頭部右側にかなり強い頭痛があり,吐き気が襲ってきて何も食べられない,飲めない.仕方がないから,親に休日当番の病院を調べてもらって,医者に診てもらうことにする.

着いた先は小児科.元日からご苦労様ですという感じ.この時,車から降りて歩いた瞬間に初めて吐く.血が混じっていた.小児科医に診てもらったところ,おそらくインフルエンザだろうということで,抗生物質や痛み止めをもらう.因に,医院には子供を中心にかなりの数の病人がいた.


1月2日.実家で年始のパーティがあり,ひとがたくさん集まる.僕は歩いたり,食べ物の匂いを嗅いだだけで吐いてしまう人間に成り果てていたので,ずっと横になっている.薬も飲んだけど,全然よくならない.なんといっても頭が割れるような頭痛がひどい.風邪やインフルエンザになっても,頭痛の症状が現れることはほとんどなかったので,何か変だぞ,と思う.


1月3日.頭痛がひかないうえに,年が明けて以来何も食べていなくて脱水症状があったので,父のコネでかなり大きな総合病院の救急に(普通に自家用車で)行く.もうどうにでもしてくれという気持ちで,点滴,採血,頭部CT,座薬(もうなされるがまま),筋肉注射(痛かった...)などの治療・検査を受ける.この時,当番の医師は神経内科の先生で,髄膜炎の可能性があるから入院しろと言う.髄液とらないとわからないと.でも,すぐに大学で試験があるし,それに腰椎穿刺みたいな痛い検査は嫌だと拒否して,頓服だけもらって帰る.この選択は一応正解だった.因に,病院には餅を喉に詰まらせたじいさんはいなかった様子.


1月4日.右目がぼやけて視界が悪くなる.全然焦点が定まらなくて本も読めない.というわけで,眼科に行く.正月なので,空いている病院を調べるだけで一苦労.一通り検査をしてもらうと,右目の眼圧が上がっており,下げなければ緑内障だと言われる.その上,角膜炎らしい.ここまでくると普段なら思うところもあるはずだけど,なにしろ頭が痛いので,ああそうですか,みたいな.目薬たくさんもらって帰る.因にこの病院はすごく印象が良かった.


1月5日.少し改善してる気がしないでもないので,初風呂.で,体を洗って鏡を見ると,顔面右側に異常な発疹を確認.顔に何かあるというのは,年末から気づいていたけど,特に珍しいことでもないし,風呂に入っていないため顔が荒れたんだろうと思っていた.しかし,かなり大きくて目立つ出来物で,若干痛みもあるのでかかりつけの皮膚科へ.もう各科詣で状態.
皮膚科の若い医師に,こんな状態で各病院でこんなこと言われました,と説明すると,即座に病名が判明した.
 

  帯状疱疹...



..というわけで,めでたく治療が始まって症状はどんどん改善していった.帯状疱疹(ヘルペス)は,かなり大きな錠剤を1日5回服用しなければいけないけど,錠剤が苦手な僕はこれが苦しかった.ヘルペスとしてはやや珍しく,三叉神経沿いに発疹が現れて(普通は腰,背中,胸が多いらしい)角膜もやられたので再び眼科へ赴き,新たな薬をもらった.
病名が発覚してから本格的にヘルペスウィルスが猛威を奮って,顔面はそれはそれはひどいことになったけど,僕は前髪が長くて発疹を隠せるうえに,ちょうど大学が休みで助かった.女性だったら,あれはさぞやつらいことだろう.皇太子妃殿下が発症されたのも確か腰だったはず.
その後,実家から戻って頭痛はやわらいだけど,眼はなかなか良くならなかった.コンピュータのディスプレイなんて全然見えない.つらかった.それでも頭痛や発疹は,顔と頭に少し後遺症が残ったけど,若さのおかげで通常通り3週間で大体治ったのであった.


さて時は流れ,今年11月に入院して多発性硬化症(MS)とアトピー性脊髄炎(AM)と診断されたのも,この正月のヘルペスがヒントになった(正月に拒否した入院&髄液検査も結局することになったんだから皮肉だ).これらの病気の発症のきっかけは,過労,ストレス,性格等,要するに免疫力の低さに依るところが大きい(MSやAMの「原因」の方は不明).因みに僕は,疲れやストレスにまったく気づかない.性格は知らないけど,明るいよりは暗いと思う.免疫力の低い人間(しかしMSは自己免疫が暴走して脱髄してしまう病気だから,矛盾もあるような気もする.よくわからない).

そんなわけで,今年はヘルペスから始まってMSとAMに収束するという(発散か?),一文字を選ぶなら「病」としか選びようのない年だったけど,それでもなお,誕生以来の幸せな1年でもあった.
その幸せなことも書こうと思ったけど,なんだかすごく長くなってしまったので,やめとこう.


繊細で傷つきやすい性格のみなさん,疲れとストレスには気をつけましょう.これらに気がつかないひとが危ないんだ(主治医談).