数理物理集中講義初日

今日から田崎さん (@学習院) による多体系の統計力学の集中講義.絶対に混むと思って早めに行ったのは正解だった (講義は居室の隣の隣の隣の隣なので,楽.お茶も飲める).聴講者のうち半分は立ち見という盛況.というか部屋が狭いんだ.
テーマは 3 つの磁性体モデルで今日は Ising model.最近,天文学的な議論の大雑把さに食傷なので,厳密な数理物理の講義はとても嬉しい.
統計力学の知識は known として,数学的な評価から Ising の物理の結果を導くという流れだったが,例えば制限が困難な不等式を適当な境界条件を一時的に課すことによって最終的に一般的な結果を得る,という手法などは見事だと思った.テクニックは (紹介された範囲では) 思っていたよりも難しいものは無かったが,それもただのパズルではないところが凄い.singular のある無しが熱力学極限でしっかり影響を与えるとか,複素数に拡張しても無矛盾とか,こんなのに B3 あたりで出会っていたら打ちのめされてたと思う.

しかし後半の山場で登場した,無限系の平衡状態を決める DSL condition がすんなりと頭に入らなかった.思想的にはおそらく上と同じで,一度制限をつけてから後で返す,ということだと思われるが,g という材料があるせいか,こちらは幾分 artificial に感じてしまった.この statement を踏まえて,ラストまで極めて重要な結果が示されたので,その場で体得できなくてちょと残念.
総評.専門外で,かつ説明がプロ仕様なので難しかったが,教官が最も得意なことを迎合せずにいくらでも喋るという,大学院向け講義は徹頭徹尾これでよいという感を新たにした.こうでなければ.
それにしても 13:00-19:00,よくあれほどのパワーで喋れるものだと思った.しかもクオリティが半端ではない.