清水先生の量子論の本を読んでいる.極めてわかりやすい.目から鱗が落ちること度々で,ベルの不等式だけ読むつもりが,最初から楽しく読んでいる.知っていることの方が多いのだが,測定理論の話など,つい量子測定のことも詳しく知りたくなってくる.このような,まったく飾らないわかりやすい本を書くということは相当なflexibilityが必要だと思う.

キッテル熱物理学のFermi気体のところがわかりにくいので,久しぶりにLandauを参照する(清水先生の後だときつい..).意外とエキセントリックなことは書いてないということがわかる.しかし序文で,「エルゴード仮説は誤った前提」と宣言していることの意義は,僕はまだ最初からしっかり読み通していないのでわからない.
それにしてもですね,Landauは巨人である,ということが数年物理学を勉強してきて明らかになってきた.それはある程度,物理学に触れてきた健全な学生なら「教程」の目次を眺めさえすればわかることで,普通の人間が物理学の(当時のほぼ)全範囲に渡って,これほどoriginalの視点からある種の哲学を持って,教科書を書き通すということは「変」である.そりゃ,Feynmanもスミルノフもゾンマーフェルトもクーラン・ヒルベルトブルバキもすごいと思うけど,Landauの本の特異性は改めてすごいと思う.執筆はLifshitzが担当したとかはどうでもよくて,問題はLandauを車ではねた人物がその後どうなったかということなわけです.
他,GRのreview paper.主に実験との整合性についてで,GPSとかEPRとか.